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根本 匠ねもと
たくみ

衆議院議員

福島第2区

(郡山市・二本松市・本宮市・大玉村)

特別編集
厚生労働大臣
344日間の軌跡
危機をバネに「統計改革」
怒涛の一か月間
重要統計の不適切処理対応の先頭に立つ

毎月勤労統計は、政府の基幹統計の一つである。経済情勢の判断のための大きな要素になっているほか、雇用保険や労災保険の給付にあたっての算定の基準などに使われている。
 平成30年(2018年)の年末、この毎月勤労統計をめぐって、担当部局の職員らが平成16年以降15年にわたって不適切な事務処理を行っていたことが判明する。仮に雇用保険や労災保険で追加的な給付が必要なら、12月21日に閣議決定していた平成31年度予算案の早急な変更が必要になる。これが1月下旬の通常国会召集後にずれ込むようなことになれば前代未聞の事態だ。根本は、追加給付の必要性の検討や予算の修正作業を指示する。翌平成31年(2019年)1月18日の閣議で予算案の概算変更を決定。通常国会の開会までに予算案の変更が間に合わないという最悪の事態は避けられた。同時に、根本は、不適切処理が行われてきた背景を徹底的に調査するように指示をした。それまで厚生労働省の幹部職員も入った形で調査を行っていたが、官僚を外し、すべて民間有識者で構成する特別監察委員会で調査を徹底するように指示したのも根本であった。特別監察委員会の調査報告書は1月22日に公表された。事案が判明してから怒涛の1か月間であった。

苛烈を極めた予算委員会

第198回通常国会は1月28日に召集された。重要統計について長期間にわたり続けられてきた不適切な処理。統計問題は、予算委員会での最大の論点であった。根本は厚生労働大臣として、野党からの厳しい追及の矢面に立つことになった。
 統計の問題は専門的で分かりにくい。国会での追及に対応するためには、小手先の知識では太刀打ちできず、本質を理解していなければならない。国会答弁のために事務方が用意した想定問数は、衆議院予算委員会が行われた2月には800問、参議院予算委員会が行われた3月には600問に及んだ。根本は、これに加え、自らも文献を取り寄せ、連日予算委員会などで厳しい質疑を行う中でも、土日も返上して徹底的に勉強をした。予算委員会の質疑で根本は、野党議員からの質問に対して、過去の事実関係を紐解きながら、一つ一つ丁寧に答弁していった。予算委員会のテレビ中継を見ている国民を意識しながら、何が問題の本質かを繰り返し、分かりやすく説明していった。
 衆議院予算委員会の終盤、ある野党の論客議員から、専門的でありかつ核心を衝く質問を受けたことがあった。事務方の想定問答は用意されていない。手ぶらに近い状態での答弁を余儀なくされたこの厳しい局面を、事務方が固唾を飲む中で、根本は、統計問題に対する徹底した勉強と深い理解で乗り切った。政治家としての凄味である。
 政権の一員として、世論調査の結果は常に気にかける。予算委員会は野党の追及の場であり、通常この時期の内閣支持率が下がるもの。しかも、このときはメディアも「統計問題」一色で、世論調査も総じて安倍政権に厳しい内容であった。にもかかわらず、その時期の安倍政権の支持率は全く下がっていない。根本の誠実な説明により、内閣への打撃は食い止められたのである。ちなみに、ある新聞の世論調査では、「統計問題に最も責任があるのは誰か」という問いに対して、「これまでの厚生労働大臣」が34%、「厚生労働省の官僚」が31%、「安倍首相」が16%と続き、「根本匠厚生労働大臣」はわずか3%だった。

「平成」から「令和」へ

平成31年(2019年)4月1日、閣議にて、新元号は「令和」と決定された。根本は厚生労働大臣として、この新元号の制定という重要な国事に携わったのだ。4月25日、今上天皇の生前退位と新天皇の即位・元号改正を祝した10連休を控え、他の委員会が早々と“店じまい”する中、厚生労働委員会だけ夕刻まで審議が行われた。「平成最後の大臣答弁」は根本の答弁となった。
 連休明けの5月7日、いち早く審議を再開した参議院厚生労働委員会で「令和最初の大臣答弁」を行なったのも根本だった。「平成」から「令和」へと時代が変わる中、根本は常に国会の中心にいた。

統計行政のフロントライナーとして
「統計改革ビジョン2019」を打ち出す

「攻めて守る」が根本の政治信条の一つ。今回の統計問題は、統計業務に対する組織的な意識の低さが本質的な原因である。根本は、通常国会が終わるや、特別監察委員会が提案した再発防止策を踏まえ、早速、改革案の策定に取り組んだ。いわば「攻め」に転じたのである。
 厚生労働省は令和元年(2019年)7月に「厚生労働省統計改革ビジョン2019有識者懇談会」を設置。その第一回会合の冒頭で根本は「政府全体の公的統計を牽引する『統計行政のフロントランナー』となることを目指します。私が先頭となって、厚生労働省改革と統計改革を力強く進めていきたい」と宣言した。
 有識者懇談会は約1か月の間に合計3回の議論を行い、8月20日に「厚生労働省統計改革ビジョン2019」の策定に向けた提言をとりまとめた。これを受け、厚労省は8月27日、統計改革の指針となる「厚生労働省統計改革ビジョン2019」を策定した。このビジョンの着実な実践がなければ統計行政の信頼回復は望めない。厚生労働省は一刻も早く国民の信頼を回復し、「統計行政のフロントランナー」にならなければならない。根本は不退転の決意を示したのだった。