トピックス 2007年
良いお年を!
平成20年度予算案の編成作業が完了、24日に閣議決定されました。財政再建の制約がある中でメリハリの利いた良い予算が仕上がったと思います。
また、どうなるかと成り行きを注目していた薬害C型肝炎訴訟問題では、福田総理が23日、自民党総裁として患者の皆さん全員を議員立法で一律救済する意向を表明。難航していた独立行政法人改革についても、最後は官邸主導で決着、24日に整理合理化計画が決定されました。
寒冷地や中小・零細企業などに配慮した原油高対策も25日にまとまるなど、懸案が次々に片付き、乃至は大きく前進しています。
マスコミや野党は福田総理の指導力が足りないと批判しますが、総理として着実に仕事をこなしている。年の瀬の福田さんの働きぶりを見ていますとそんな印象を受けます。
来年の干支は子(ね)、繁盛の子年です。良いお年をお迎えください。
来年度税制改正大綱まとまる
与党の来年度税制改正大綱がまとまりました。
今回の税制改正は、国力の源泉である我が国産業の競争力を強化するため、企業の研究開発費の一部を法人税の納税額から差し引ける範囲を拡大するなどの措置を講じるとともに、いわゆる格差問題など「負の側面」にも十分に配慮した税制となっています。
まず、都市と地方の税収格差の是正に向けて、法人事業税の約半分を分離して「地方法人特別税」を創設し、「地方法人特別譲与税」として地方に再配分します。また地域経済や地場経済の再生に向けて中小企業の事業承継税制の拡充や農商工連携などに取り組んでいきます。自分の出身地の自治体に寄付をすると住民税の一割を上限に税額控除できる「ふるさと納税制度」も創設が決まりました。
このほか、証券税制の見直しやベンチャー企業の資金調達を後押しする「エンジェル税制」の拡充などを図ることとしました。
ある日の根本匠
間もなく師走、今年も残り少なくなってきました。
「年の瀬になると先生も走り出すほど慌ただしくなる。師走る、ということで12月を師走と呼ぶようになった」
子供の頃、学校でそう教えられたものですが、師走は実は当て字で、語源もはっきりしていないのです。
その年が果てるという意味の「年果ツ(トシハツ)」や、最後になし終えるという意味の「為果ツ(シハツ)」が〈シハス→シワス→師走〉に変化していったという説もあります。
ともあれ、年の瀬の慌ただしさについては論をまたない。永田町も、国会や来年度予算の編成作業などで一足先に師走を迎えたような慌ただしさです。
かく言う私も、分刻みの日程に振り回される日々で、先日も、朝いちばんで住宅生産団体連合会の皆さんから来年度税制改正に関する要望をお聞きし、全国史跡整備市町村協議会の臨時大会に臨んだ後、国対正副委員長の会議に出席。さらに経産省などから重要政策に関する説明を受けた後、今度は党本部で農業基本政策小委員会と党果樹農業振興議連総会に出席、ここでようやく午前の日程を終えました。
続いて午後。保険会社の役員の方から業界の動向などについて説明を受けた後、財政改革研究会で中間報告をとりまとめ、治水事業促進全国大会に出席しました。この辺で一息つこうと思ったのですが、国会図書館内で応じた記者の取材が1時間余に及んだため休憩抜き。福島県の雪対策協議会やたばこ耕作者組合などの陳情を受け、さらには畜産振興議員連盟の会議を開催、その間にも金融庁などの説明を受けたりと、休む暇もない一日でした。
師走に入り、予算編成作業が大詰めを迎えると、この忙しさは倍加され、秒刻みで日程をこなすことになります。
「神様、仏様、稲尾様」――。
私と同世代のかつての「少年」は、誰もがこの言葉に心躍らせた過去があるに違いない。
稲尾和久は私が小学生の頃、誰もが認める圧倒的なスーパーヒーローだった。シーズン20連勝や日本シリーズでの連投・連勝という常人離れした記録にワクワクした気持ちは、半世紀近くを経た今でも瑞々しく心に残り続けている。
「少年・根本匠」があこがれのヒーローに初めて会ったのは二〇〇四年のことだった。白黒テレビに釘付けになって声援を送った「鉄腕」のイメージはしかし、大きく裏切られた。私をじっと見る「鉄腕」の目は、子供の時に勝手に描いていた印象とは裏腹に、人を包み込む、象のような優しい目をしていた。
当時、稲尾さんはマスターズリーグの福岡ドンタクズの監督。私は自民党の広報本部長で党を挙げてマスターズリーグを応援しようとしていた。「同じ六〇代の観客から『稲尾、一球でもいいから投げろっ』とやじられるんですよ。でももうボールが届かないんだよね」――。稲尾さんの訃報を聞いて思い出すのは、二人で対談したときの優しい笑顔だ。象の目は優しさと芯の強さを同時に映していた。稲尾さんから感じられた優しさは、生き様や魂に根ざしたものだったからこそ、周りに愛されたんだろう。私もずっと象の目を意識しながら生きて行きたい。
ご冥福をお祈り致します。
「話し合い」と「最後の知恵」で成立した改正被災者生活再建支援法
大規模自然災害の被害を受けた方への支援を充実させる改正被災者生活再建支援法が、今国会で成立しました。与党と民主党がそれぞれ独自の法案を提出しており、まさに、いわゆるねじれ国会の象徴でしたが、ねばり強く話し合った結果、被災者の方々に喜んでいただける成案を得ることが出来ました。
改正前の被災者生活再建支援法は、申請から支援金の給付に至るまでの事務手続きが煩雑なため、居住関係の経費の支給が約3割にとどまっています。
これに対し、与党案がベースとなった改正法では、使途を限定せず、しかも細かな手続きがなくても被害の程度に応じて支援金が支払われることになりました。年齢・年収の申告が不要になりますので、被災者間の不公平感も解消されるでしょう。
また、今年発生した能登半島地震や新潟県中越沖地震など4つの災害については、改正法の公布日以降に申請した場合に限って新制度を特例的に適用することにしました。法律を過去に遡って適用する遡及適用(民主党は今年の一月一日にさかのぼっての遡及適用を主張)は、既に支援を受けている方とのバランスを欠くことになり困難ですが、われわれが知恵を絞った結果、能登半島地震など4つの災害については、ほとんど申請が行われていない、いずれも政府が制度の見直しに着手した後(今年の3月以降)に発生した災害である、との理由から特例適用としたものです。最後の最後まで国民のために知恵を出す、これが政策本位の政治です。
これからも丁寧な国会運営に努めます
先週、永田町は二度にわたる自民・民主の党首会談と民主党代表の辞任騒動で大揺れの展開となりました。
伝え聞くところによると、党首会談では、新テロ対策特別措置法案の重要性や恒久法制定の是非、政策実現のための新体制の必要性などについて話し合われたもようで、私たちも果たしてどんな結論が出るのかと固唾を呑んで見守りました。
会談直後の小沢民主党代表の突然の辞意表明には驚きましたが、「党役員会で『政策協議を進めるべきではないか』と提案したが、残念ながら認められなかった。それは私が選任した役員の皆様方から不信任を受けたに等しいと考えている」と、自身への不信感が生まれたことを辞任の理由に挙げたあたり、いかにも小沢さんらしい判断だったと思います。
ともあれ、大事なことは党首会談で「大連立」や「連立」という言葉を使ったかどうかではなく、年金や安全保障など国家、国民のための重要政策をいかにして前に進めていくかなのです。私たちは、新テロ対策特別措置法案に象徴されるよう今後とも丁寧な国会運営に努め、野党と徹底的に議論をたたかわせながら一致点を見出す努力を続けていきます。
「農業者戸別補償法案」に異議あり!
先日、地元郡山で農業に意欲的に取り組んでいる専業農家の皆さんとミニ集会を開き、農業への思いや将来への不安などについて語り合いました。こうした方々への思いに応えるためにも農業の再生を急がねばなりません。
ところで、民主党が、今夏の参議院選挙でマニフェストに掲げていた「農業者戸別補償法案」を今国会に提出しました。小規模農家も含め集落を守っていくための制度等と耳に心地よく響きますが、はっきり言って日本の農業の未来を真剣に考えた法案ではありません。
民主党の法案をよくよく見ると、まず1兆円という財源の根拠が曖昧な上に、自由化を前提とした所得補償で、日本の農業の発展にはつながりません。マニフェストでは強制減反廃止をうたっていたのに生産調整は行うという、問題の多い法案です。
しかも、WTO(世界貿易機関)の補助金ルール上削減を求められる仕組みになっており、農家に対し現在以上の補助金が実際に支給されるのかどうかも定かではありません。これで日本の農業をどうやって発展させようというのでしょう。
これに対し私たち政府・与党が目指す品目横断的経営安定対策は、日本の農業の足腰を強くすること、WTOルール上も問題なく将来にわたって補助金を支給できるようにすることです。
小規模農家も集落営農という形で参加できますし、参加が難しくても、産地づくり対策や中山間地直接支払い、農地・水・保全対策など様々な支援策があります。
野菜や果樹など土地利用型以外の品目についても、小規模農家を含め別の対策が用意されています。
なお、品目横断的経営安定対策には、手続きや要件、基準などいろいろな問題があり、農家にとって使い勝手の良い制度にすべく抜本的に見直しを進めていくことにしています。
コメ対策についても政府・与党は力を入れています。今年度産米の価格下落は異常事態であり、日本の農業・農村が持つ多面的機能を維持、農業経営の安定を図るために備蓄米の緊急買い上げ等の価格下落対策を10月29日に決定しました。
私たち政府・与党は、民主党のような“ばらまき政策”に陥ることなく、環境や目的に応じたきめの細かい政策により、農家が誇りをもって農業に取り組み、日本の農業が活力をもって発展できるよう全力をあげて取り組んでいきます。
対テロ新法案の早期成立を目指します
今国会最大の懸案である新テロ対策特別措置法案が国会に提出されました。
新法は1年限りの時限立法で、インド洋における海上自衛隊の活動を給油・給水に限定するなど野党の主張を最大限採り入れております。衆院本会議での法案の趣旨説明・質疑が決まり、テロ対策特別委員会での与野党の論戦も近くスタートすることになります。政府・与党としては今国会での成立に全力をあげる方針です。
ご存知のようにこの法案を巡って与野党の対立が続いてますが、日本の外交、世界の平和と安全、日本の存在が問われる重要な法案です。その成立は、日本の国際貢献と国益にもかないます。法案審議は徹底して行う必要がありますが、法案成立に時間がかかりすぎて海上自衛隊の給油活動の中断が長引けば、これまでの日本の貢献に対する国際社会の称賛が失望や批判に変わりかねません。
アフガニスタンの安定やテロとの戦いで行動が必要という認識は野党にもありますので、法案への理解が深まれば歩み寄りの可能性が必ず出てきます。国対及び議運の幹部として与野党の論戦をしっかりとサポートし、法案の早期成立を目指します。
国対・議運は「コインの裏側」〜だけどとても重要な仕事です〜
こんにちは、根本匠です。安倍前総理大臣の突然の辞任から3週間が経ちました。その間、自民党の総裁選挙で福田新総裁が選出され、再開された臨時国会では首班指名選挙、福田新総理大臣の所信表明演説、衆参両院の代表質問と順調に日程を消化していますが、本格的な国会論戦はこれからです。
報告が遅れましたが、私は8月末の安倍改造内閣の発足に伴い活動の場を官邸から自民党と国会に移し、党の国会対策委員会の副委員長(総括担当)と衆議院の常任委員会の一つである議院運営委員会の理事(法案担当)に就任しました。福田政権発足後も引き続き国対副委員長と議運理事を務めております。
皆さんがテレビや新聞で見聞きする国会での与野党の論戦(審議)がコインの表なら、国対と議運の仕事はコインの裏側。国会の円滑な運営を舞台裏で支えるのが私たちの役目で、国会運営には必要不可欠な存在です。国会開会中は、月曜日から週末まで国会に缶詰め状態になり、懸案の処理に追われていますが、国会議員である以上国会での仕事はどんなに忙しくても疲れを感じることはありません。
ただ、総理大臣補佐官の時と同じように、表舞台で派手に立ち回る役職ではないので、「どんな仕事をしているの?」と訊かれても、なかなか答えられない難しさがあります。
一つだけ、エピソードをご紹介します。
衆参両院の指名選挙の結果が分かれた先月25日、9年ぶりに両院協議会が開かれたのはご存じの通りです。この協議会は非公開で行われ、物別れに終わるわけですが、誰かが打ち止めを宣言しないことには協議の幕引きを行うことができません。
衆議院側の両院協議会委員として出席した私は、「その時はよろしく」と要請を受けていましたので、頃合いを見計らって発言を求め、次のように締めくくりました。
「いろいろ意見を承りました。しかしながら私どもと致しましては、福田康夫君の、改革・成長路線の継続や地方経済の再生に賭ける意気込みには並々ならぬものがあり、必ずや国民の期待に応えてくれるものと確信している次第です。従いまして、(参議院の)皆様方のご意見に応ずるわけには参りませんので、この辺で結論を出されるようお願い致します」
私のこの一言で両院協議会の議論が打ち止めとなり、衆参の各本会議で各議長が「衆議院の議決が国会の議決となる」と宣告し、ようやく福田総理が誕生したわけです。
ともあれ、テロ対策特別法に代わる新法案の提出・審議や年金問題など国会の論戦はこれからが本番、私の仕事もこれからが本番です。
総理辞任
ご存じのように安倍総理が12日、辞意を表明しました。あまりにも突然のことで驚きました。同じ志のもとに戦ってきただけに残念でなりません。
安倍総理は、主張する外交や教育の再生など日本の国の基本的な在り方を問いかけ、新しい国づくりに挑戦され、私も総理の補佐官として「第三の開国」の観点から官邸主導でアジア・ゲートウェイ構想のとりまとめに奔走、あくまでも総理の黒衣の立場でしたが、やりがいのある1年でした。
しかし、安倍さんの総理としての仕事は紛れもなく道半ばです。正直のところ、たとえいばらの道であっても踏みとどまって欲しかった。本心からそう思います。
テロとの戦いの継続は、世界の平和と安全に日本が役割を果たしていく上で最も重要な課題であり、安倍さんの手で成就してもらいたかった。返す返すも残念でなりません。
黒子に徹した11カ月
根本匠です。総理大臣補佐官の激務からようやく解放され、自民党に戻ってきました。今後は、党の国会対策副委員長、衆議院の議員運営委員会理事として国会対策に汗を流すことになります。
昨年9月の内閣発足と同時に発令された補佐官人事は、官邸への機能集中を目指す安倍政権の最重要人事で、私は成長戦略など経済財政政策の分野で安倍総理を徹底的に支え、与党や関係省庁との調整役となることを命じられました。
5人の補佐官にはそれぞれ別の任務が与えられており、仕事の仕方も中身も違うので一概に言えませんが、私の仕事に関する限り、安倍政権の重要政策課題の一つである「アジア・ゲートウェイ構想」を具体的な政策に仕上げるべく誠心誠意取り組みました。その過程で官邸主導−正確には行政府の長たる総理主導−のもとに空港政策の基本方針の大転換(アジア・オープンスカイ)を実現し、貿易手続き改革や文化産業戦略なども推進。また社会保険庁改革などでも、総理の名代として関係省庁や与党間の調整役を担い、安倍総理の期待に十二分に応えることができたと自負しています。
マスコミの中には、補佐官制度はうまく機能しなかったのではないか、と懐疑的な見方を示す向きもありますが、安倍総理が新たに設けた補佐官制度は、制度としての既成概念があるわけではなく、総理の方針の下で存在意義を発揮するものです。つまり、この制度の是非を評価する意味があるのは当の安倍総理だけで、昨日(27日)の記者会見で総理は補佐官制度の評価についてこう言っています。 「官主導から政治主導に変えていくという考え方のもとで5人の政治家に入ってもらった。私はいろいろ成果を上げていただいたと思っている」
総理を裏方で支える黒子である総理大臣補佐官としての11カ月の“勤務評定”は、この総理の一言で尽きています。 5人の補佐官のうち任務が完遂していない拉致問題担当の中山補佐官と教育再生担当の山谷補佐官の2人は留任となりましたが、しっかりと安倍総理を支え、補佐官制度をさらに意義あるものにして欲しいと思います。
安倍政権の重要政策課題「アジア・ゲートウェイ構想」が完成しました
安倍総理が議長、私が議長代理を務めるアジア・ゲートウェイ戦略会議の報告書「アジア・ゲートウェイ構想」が、5月16日の戦略会議でまとまり、総理に提出されました。内閣が6月中に閣議決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込まれ、順次実現を目指すことになります。
アジア・ゲートウェイ構想は、安倍政権の重要政策課題の一つです。総理、戦略会議の民間委員の方々、そして私及び私を支えてくれている官僚スタッフが半年以上の時間をかけて徹底的に議論、関係省庁や与党にも協力を求めた結果、単なる提言ではない、物事が前に進む中身のある提言をまとめることができたと自負しております。
報告書は、首相官邸のホームページに掲載されています。
「農業活性化に関する懇談会」を開催しました。
アジア・ゲートウェイ構想の最重要課題の一つである「農業の活性化」について検討を深めるため、農業経営者、農協、有識者の方々に総理官邸に集まっていただき、活発な議論を行ないました。
自らの農場を、都市住民との交流のため無料で開放、都市住民向けの農産物の加工・販売、宅配などに総合的に取り組んでいる方のお話。
金融業から転身して農業ベンチャーを起業し、破綻した農場の再生によりグループ会社を拡大している方のお話。
生産条件の不利な中山間地域でも、村をまるごと売り込む手法により地域のブランド化に成功している農協の取り組み。
食品メーカー・外食・量販店など、実需のニーズを捉えた農産物の開発・販売や、産直などに取り組んでいる農協のお話。 等々、様々な難題を克服し、成果を上げている数々のご報告も戴きました。
議論の成果は、来月とりまとめるアジア・ゲートウェイ構想に反映させます。ゲートウェイ構想においては、農業分野は地域活性化の観点からも、構想全体の中での「最重要課題10」に特記されています。
日本は(景気回復の)ペースを保てるか
世界のビジネス・金融関係者が読む月刊誌「インスティテューショナル・インベスター」誌の表紙を飾らせていただきました。
「日本復活!(Japan is Back!)」の書き出しで始まる特集記事において、日本経済の現状及び見通しにつき、安倍政権の経済政策や総理補佐官制度及び官邸主導の政策形成をまじえて説明。安倍政権の経済政策を対外的に積極的にアピールしました。
「インスティテューショナル・インベスター」誌は、ニューヨーク及びロンドンから発行される、グローバルに活躍するビジネス・金融関係者のための専門誌。市場関係者・投資家をはじめ、政策関係者にも読まれています。私へのインタビューを中心に、日本経済復活の背景、現状、その抱える課題などを7ページにわたり詳述しています。
「日本文化産業戦略・文化の発信に関する懇談会」を開催しました。
デザイン、ファッションなどの第一線で活躍し、世界的に著名な有識者(例えばシャープの液晶テレビ「アクオス」をデザインした喜多俊之氏)、など、「アジア・ゲートウェイ構想」具体化のために、私がこれまで個別に意見交換を行ってきた方々を官邸にお迎えし、日本文化産業戦略、日本の文化・魅力の向上、発信について意見交換をしました。
アジアをはじめ、世界中で人気を博している日本のアニメ、マンガといったポップカルチャーだけでなく、日本の各地域にある伝統産業・伝統文化を通じて養われた日本人の感性を活かしていくことの重要性につき、活発な意見交換。
とくに、日本の消費者の高い要求水準によって、品質の高められた食品(農産品や日本酒)の海外への輸出や、現代の先端技術にも使われ、海外の人が高く評価する伝統的な技術(漆塗り)、繊維(着物)、紙(和紙)を維持・発展させることの重要性が指摘されました。このように、東京だけでなく、日本全体が世界の人が集まる魅力的な場として力を発揮するために必要な努力を行うべきとの意見が多く出されました。
また、私が昨年11月末にシンガポールに出張した際の、シンガポール関係者との議論を通じて具体化し、今年3月の日本・シンガポール首脳会談の際に安倍総理とリー・シンガポール首相の間で合意した、「ジャパン・クリエイティブ・センター(仮称)」の実現のために、民間の知恵を活かしていくことの重要性が確認されました。
さらに、日本の文化・魅力の海外普及に力を尽くした外国人や、海外の人があこがれる日本のクリエーター等を総理が表彰する制度についても、その重要性が多くの出席者から指摘され、実現に向け、関係省庁が作業することに。
今回の意見交換を踏まえ、安倍総理の指示の下、私が5月中にとりまとめる「アジア・ゲートウェイ構想」の重要な柱である「日本文化産業戦略」の中に位置づけます。
参加してくださったのは次の皆さんです。
宮田亮平さん、アジア・ゲートウェイ戦略会議委員で東京藝術大学長。
太田伸之さん、株式会社イッセイミヤケ代表取締役社長、東京ファッションデザイナー協議会議長を経て2000年から現職。06年からジャパン・ファッション・ウィーク実行委員会委員、ファッション戦略会議委員。
喜多俊之さん、インダストリアルデザイナーとして国際的に活躍、ニューヨーク近代美術館等世界で作品が永久コレクションとして展示されていて、シャープの液晶テレビ「アクオス」のデザイナー。
隈 研吾さん、建築家で、自然と技術との新しい関係を切り開く建築を提案。代表作に「石の美術館」など。先日開館した「サントリー美術館」を設計。理論家で「負ける建築」など著書も多数。
浜野保樹さん、東京大学大学院教授で、文化庁メディア芸術祭運営委員を務め、映画をはじめコンテンツ産業について深い知見をお持ち。知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会メンバー。)
原 研哉さん、グラフィックデザイナーで、日本デザインセンター代表取締役、デザインの領域を広くとらえて多方面にわたるコミュニケーションプロジェクトに参画。長野オリンピックや、愛知万博においてデザイン活動を展開してこられました。
藤幡正樹さん、東京藝術大学教授で日本のメディアアーティストの第一人者であり、海外でも高い評価。大学院で若いアーティストの教育に携わりながら、新しいテクノロジーを使って本質を見極める作品を数多く生み出してらっしゃいます。
行政側は、内閣官房知的財産戦略推進事務局、総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の各省です。
アジア・ゲートウェイ戦略会議、中間とりまとめを行いました。
今日22日、アジア・ゲートウェイ戦略会議を開催し、アジア・ゲートウェイ構想の中間とりまとめを行いました。この構想は、日本全国をアジアと直接結びつけ、地域のさらなる活力を引き出すことをねらいとした、安倍政権の重要課題の一つです。昨年9月の総理補佐官就任以来、私自身も100名以上の有識者と徹底討論を行い、今回、その中核となるアイディアをまとめることができました。「最重要課題10」と銘打ったものの中でも、とくに重要なものは、アジアの航空自由化を進め、ビジネス、観光や地域振興のためにもアジアと日本を直接結びつける「アジア・オープンスカイ」、日本の魅力の海外発信のための「ジャパン・クリエイティブ・センター(仮称)」の設立や、日本の豊かな食文化や農産物の可能性を引き出す、力強い農業の活性化などです。5月中旬には最終的なとりまとめを行うことになりますので、これからが正念場です。
文化庁メディア芸術祭を視察、激励しました。CGで郡商・女子高生が受賞
文化庁メディア芸術祭は、新しい表現技法を開拓して制作した創造性あふれるメディア芸術作品および作者を顕彰するとともに、その創作活動を支援し、広く紹介していく、メディア芸術の祭典であり、同時に、先端的なメディア芸術の鑑賞機会を提供することで、わが国のメディア芸術の振興を図ることを目的としています。
安倍政権は、アジアと世界との架け橋になることを目指すアジア・ゲートウェイ構想の実現に取り組んでいます。その重点政策の一つである「日本の魅力の向上、発信」に関しては、世界的にも高い評価を得ている、我が国のメディア芸術の分野の役割がきわめて大きく重要です。
この日、官邸で開催した「アジア・ゲートウェイ戦略会議」終了後、芸術祭に駆けつけたのですが、安倍総理の突然の登場に参加者が感激、会場が沸きあがりました。
数多くの作品のいづれもに、新鮮な印象を抱きましたし、アニメーションと先端技術の融合に驚きました。
アート部門で奨励賞に輝いたのは、何と中学2年生。(フォトギャラリー2番目の写真が彼の大作。「Sagrada Familia 計画」)名刺交換しましょうと、中学2年生の彼から名刺を差し出され重ねてビックリ。アニメーション部門で奨励賞を獲得したアルゼンチンのベッリーニさんとは会場でゆっくりお話しできました。
さらに、嬉しかったことは、「学生CGコンテスト」で、郡山商業高校の女子高生の作品「おでん?」が、静止画部門で佳作を受賞したことです。(4番目の写真)感性の豊かさに魅かれました。ふと、この冬は、あまり付き合いがなかったかな、おでんとは・・・。
平成18年度文化庁メディア芸術祭受賞作品展は、2月24日から3月4日まで、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)で開催されています。
施政方針演説を聴いて
会期150日間の通常国会が召集され、26日午後には衆参両院で安倍総理の施政方針演説が行われました。
施政方針演説としては分量(約9424字)がやや短めですが、簡潔にして明瞭な演説内容で、本格政権を目指そうという総理の強い決意が随所ににじみ出ています。
演説の中で総理は経済運営について、今後5年間に取り組むべき改革の方向性を示した「日本経済の進路と戦略」に基づき成長の実感を国民が肌で感じることができるよう新成長戦略を力強く推し進める方針を表明。私が担当している「アジア・ゲートウェイ構想」については、5月までに構想をとりまとめる方針を示されました。
以下、施政方針演説の【成長力強化】の全文を掲載します。
「美しい国」を実現するには、その基盤として、活力に満ちた経済が不可欠です。日本が人口減少社会を迎える中で、国民が未来に夢や希望を持ち、より安心して生活できる基盤となる社会保障制度を維持するためにも、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要です。今こそ、日本経済を中長期的に新たな成長の舞台に引き上げていくことが重要であり、今後5年間に取り組むべき改革の方向性を示した「日本経済の進路と戦略」を策定しました。これに基づき、私のリーダーシップの下、革新的な技術、製品、サービスなどを生み出すイノベーションと、アジアなど世界の活力を我が国に取り入れるオープンな姿勢により、成長の実感を国民が肌で感じることができるよう、新成長戦略を力強く推し進めます。
約100年前、権威ある物理学者が「空気より重い空飛ぶ機械は不可能である」と断言したわずか8年後、ライト兄弟が初の有人飛行に成功しました。絶え間のないイノベーションが人類の将来の可能性を切り拓き、成長の大きな原動力になります。2025年までを視野に入れた、長期の戦略指針「イノベーション二十五」を5月までに策定し、がんや認知症に劇的な効果を持つ医薬品の開発などの実現に向けた戦略的な支援や、各国の特許制度の共通化への取組など、具体的な政策を実行します。
イノベーションにあわせ、ICT(情報通信技術)産業の国際競争力を強化するとともに、医療、農業など将来有望な分野で残る規制の改革やIT(情報技術)の本格的活用により事業の効率性を高めるため、4月を目途に生産性加速プログラムを取りまとめます。減価償却に関する税制度を約40年ぶりに抜本的に見直し、投資の促進を図ります。
アジアなど、海外の成長や活力を日本に取り入れることは、21世紀における持続的な成長に不可欠です。2010年に外国人の訪問を1000万人とする目標の達成に向け、今年は、日中間の交流人口を500万人以上にすることを目指します。大都市圏における国際空港の24時間供用化や、外国から我が国への投資を倍増する計画を早期に実現します。アニメ、音楽、日本食など、日本の良さ、日本らしさにあふれる分野の競争力を強化し、世界に向けて発信する、「日本文化産業戦略」の策定も含め、ヒト、モノ、カネ、文化、情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となってともに成長していく、「アジア・ゲートウェイ構想」を、5月までに取りまとめます。
経済連携の強化は、お互いの国に市場の拡大という大きな恩恵をもたらし、国内の改革にも資するものであります。ASEANなどとの経済連携協定や日中韓の投資協定の早期締結と、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に取り組みます。
一年の計は元旦にあり
明けましておめでとうございます。
一年の計は元旦にあり、といいます。皆さんはどのような計画をお立てになったでしょうか。
私も、と考えましたが、「アジア・ゲートウェイ構想」(アジア各国との連携強化策)をはじめ懸案が多すぎて計画を立てるどころではありません。それに、今後も安倍総理から新しいテーマを次々と託されると思いますので、一つずつ着実にこなし、総理補佐官としての役目を精一杯果たしていく。これが根本匠の今年一年の計です。
ともあれ、今年も政策本位の政治を有言実行。根本匠の活躍をご期待下さい。