日本は(景気回復の)ペースを保てるか
「日本は(景気回復の)ペースを保てるか?」 総理補佐官の根本匠は、一刻の猶予もない改革を推進するための困難な闘いに挑む
日本は10年以上にも及ぶ経済停滞の後、新宿御苑の桜のようにその経済回復の花を咲かせている。経済回復の主役は、小泉総理の後継である、52歳の安倍総理である。安倍総理は1月の国会演説において「自分の使命は、今後50年100年間の荒波に耐えられるだけの新しい国家のビジョンを打ち立てることである」と述べた。
「安倍政権は新しい国造りをしている」と根本総理補佐官は総理官邸での独占インタビューで語った。「日本経済は復活し、経済成長戦略を政策の柱にした政権は久しぶりである。」
安倍総理は日本がグローバル化の中で開かれた国となるための広範なビジョンを示し、根本総理補佐官を経済連携協定の締結をはじめとする、アジアの成長を取り込むアジア戦略を策定するように指示した。
こうした経済面での成功と同時に、日本は多くの経済的な問題に直面している。榊原英賢氏をはじめ、一部の関係者はこうした経済政策を美辞麗句に過ぎないと批判する。政権の支持率も低下しているのも事実である。政権がまだ詳細な政策を打ち出しておらず、外交政策での成果にとどまっていることを理由に、経済政策に対する関心が低いとの指摘もある。一部の関係者は、安倍政権は7月の参議院選挙に勝利した後であれば、より大胆な改革に取り込めるとも指摘する。安倍政権の経済政策は、法人税引き下げといった面にも示されるような、供給側の改革であると見る向きもある。
安倍政権の支持率が伸び悩んでいるものの、多くの専門家は最終的には政権は国民の支持を得ると見ている。というのも、野党民主党の支持率はさらに低迷しているからである。参院選挙後、安倍総理や根本補佐官は変化の妨げとなってきた既得権益や官僚と戦わなければいけない。次期東証社長である斉藤淳氏は「根本補佐官がどのように戦っていくか注目している」と語る。「彼が失敗すれば保守層が勝利する。根本補佐官は成功しなければならない。」
安倍総理は、初の戦後生まれの総理であり、若く改革派としてのイメージが強いが、保守的な傾向があるのも事実である。(総理の経歴を紹介)。総理は2002年の拉致問題の際に国民的な人気を得た。それ以前、安倍総理は根本補佐官と並んで「政策新人類」として知られ、官僚機構の政策決定方式に異議を唱えたことで知られている。指揮者は、今回の5名の総理補佐官の任命は、安倍総理が、最新の課題により機動的に対処できるように、米国のホワイトハウスやイギリスのダウニング10番地(首相官邸)に近いシステムを作ろうとしていると語る。
根本総理補佐官の経歴も安倍総理に似ており、二人は親友である。根本補佐官は1972年に建設省に入省した後、93年に安倍総理と同じ年に国会議員となり、厚生労働政務次官、内閣府副大臣等の要職を歴任した。2001年に根本氏は、財務金融委員会の理事として、産業再生機構の設立の中心的な役割を果たした。同機構の社長であった斉藤淳氏は「彼は政治介入を防ぐことに尽力した」「我々は外部のことを全く気にせず仕事ができた。これは日本では珍しいことだ」と語る。
安倍政権はグローバル化を取り込んでいく姿勢を前面に出している。日本は過去数年に比べて力強さを示しているが、その成長を持続させるためには、少子化をはじめとする構造的な問題に取り組まなければいけない。
まだ安倍政権は、改革の具体的な内容については、その断片しか示していない。その一例が、根本補佐官が主導しているアジア・ゲートウェイ戦略である。これはアジアの経済成長の活力を取り込むものである。具体的には経済連携協定を締結するとともに、アジアとの空港・港湾のネットワークを強化する。根本補佐官は、これらに加えて、日本の金融センターとしての役割強化や、アニメや音楽、食品といった日本の魅力の発信も手がけるとしている。ただし、まだ具体的なアイディアは示されておらず(注:インタビューは2月)、まだ言葉だけであるとの批判や懐疑的な見方も存在している。これら以外にも、安倍政権は海外からの直接投資の倍増といった政策を掲げている。
安倍政権は他にも農産品輸出の促進や、IT技術を使ったサービス産業の改善、労働市場改革など、幅広い分野の改革を手がけようとしている。安倍総理が改革の具体的な内容を示すのに残された時間は限られている。
インタビュー(一問一答) 「より広い政策オプションを目指して」
山登りと補佐官としての改革の仕事を関連づけて、約1ページにわたり、総理補佐官制度の意義(「補佐官は総理の耳であり目である」)、経済財政諮問会議との協力関係(改革のダブルエンジン)、政策の具体策(5月に示せる見込み)等々を詳述。