衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村

トピックス 2002年

2002.12.15

救急救命士の業務拡大実現へ

<心肺停止状態の患者が救急車に担ぎ込まれた。しかし、気管に異物があり、通常の方法では酸素吸入ができない。病院内なら、喉から肺に向けてチューブを入れ酸素を送り込む「気管挿管」で患者を救えるのだが、救急救命士には「気管挿管」が認められていない。病院に到着するまで指をくわえているしかないのか?>

もしも救急救命士が、救急車内で「気管挿管」や、医師の指示を受けずに「除細動(心臓への電気ショック)」を行うことができたら、もっと多くの人の命を救うことができるかもしれない−−。

使命感に燃えた現場の救急救命士のこうした思いが自民党を動かし、私を座長とする党の作業部会でこの問題を検討。今年6月に、医師の指示を受けない「除細動」と「気管挿管」について一定の条件の下に認めるよう厚生労働大臣と総務大臣に申し入れたことは、[トピックス]の第9回(「医師との連携で救急救命士の業務拡大を」)でご紹介した通りです。 「気管挿管」に関しては、医師の指示の下で常時指導体制や事前・事後のメディカルコントロールを徹底的に行うことを前提に、「気管挿管をしなければ気道の確保が困難な場合」にのみ「必要な教育・訓練を受け認定された救急救命士」に限定して認めるべきである、と提言。 医師の指示を受けない「除細動」についても、きちんとしたメディカルコントロールが行われることなどを条件に容認するよう申し入れました。

政治家の役割はここまで、救急救命士の業務拡大について方向性や道筋をつけるところまでです。その先は、当然のことながら行政の仕事で、私たちの提言が行政当局の検討作業に弾みをつける形となりました。

そして今月11日、厚労省と総務省・消防庁の「救急救命士の業務の在り方等に関する検討会」の報告書がまとまり、救急救命士による「気管挿管」と、医師の指示を受けない「除細動」が一定の条件付きで認められることになったのです。

まず「気管挿管」については、医師の指示に基づき、「必要な講習・実習を修了する等の諸条件を満たした救急救命士」に限定して認めるべきであると提言。実施時期は「平成16年(2004年)7月を目処に」としています。

一方「除細動」については1年早く、「平成15年(2003年)4月を目処」に認めるべきであると提言。無論、「事前・事後のメディカルコントロール体制を早急に整備するなどの準備を尽くした上で」との条件が付いており、「気管挿管」も「除細動」も私たちの提言に沿った内容となりました。

この問題では、秋田県などの消防本部で「気管挿管」が恒常的に実施されていたことが明るみに出、命懸けで働いている救急救命士の皆さんが批判の矢面に立たされたことがありましたが、今後は条件を順守すれば正当な救急救命措置として行うことができます。

現場の救急救命士が政治家を動かし、政治家が行政を動かして実現した今回の「救急救命士の業務拡大」措置が、多くの人々の命を救う結果となれば、これに勝る喜びはありません。

2002.11.29

「匠フォース」ただいま稼動中

根本匠です。「匠フォース」についてかなりの反響がありましたので、続きを書くことにします。 「匠フォース」とは、英語の「Task Force(タスク・フォース)」をもじった造語です。「Task Force」の日本語訳は「特殊部隊」、「機動部隊」、「専門委員会(チーム)」などです。 「匠フォース」を直訳すれば、「匠の機動部隊」ということになりますが、参加している官僚諸君は、「常勤」の3人を除けば“現住所”はバラバラ。一カ所に集まって部隊やチームを形成しているわけではありません。

要するに、根本匠が担当している政策の企画立案作業を、機動的に手伝ってくれる官僚たちを総称して「匠フォース」と呼んでいるわけです。

彼らは、ふだんは各々の役所で仕事をし、必要に応じて“手弁当”で私の作業を手伝ってくれています。

一方、内閣府の副大臣室に陣取る「常勤」の戦略スタッフは、前回の日記では2人と書きましたが、その後1人増えました。黒衣のように絶えず行動を共にしている秘書官(内閣府)と、私の仕事を全般にわたって補佐する企画官(課長級、経産省から出向)のほかにもう1人。財務省から若手官僚(課長補佐)が新たに、私の戦略スタッフとして加わってくれたのです。

内閣府副大臣(兼総理大臣補佐官)に就任した際、私には「経済財政政策」「国民生活」「行政改革」「道路関係公団改革」「構造改革特区」「食品安全行政」と6つの担当が割り振られました。このように広範かつ困難な任務を背負った副大臣は初めてというにもかかわらず、私を補佐するスタッフは秘書官のみ。そこで内閣官房に働きかけ、「匠フォース」のメンバーのひとりである行政改革推進事務局の企画官(経産省から出向)を、「根本匠の任務を補佐する企画官」として引き入れることに成功しました。

が、それでも秘書官の負担はなかなか減りません。彼の睡眠時間は平均2〜3時間、携帯電話はいつも午前中で電気切れという有り様。

その上、「産業再生機構」も担当することになり、このままでは常勤の「匠フォース」がパンクしかねない、と内閣官房に戦略スタッフの増員を申し入れ、財務省の課長補佐が新たに加わってくれたわけです。正直言って、これほどの精鋭を直轄部隊として持っている副大臣は、前代未聞ではないでしょうか。

1日は24時間しかありません。1人の人間が働ける時間は限られています。

政治家が十分に自分の力を発揮し、与えられた仕事をきちんとこなすにはそれなりの体制づくりが必要ですが、国が体制を整えてくれるのを待っているわけにはいきません。私が考案した「匠フォース」は、副大臣・政務官制度を有効に機能させるための新たな試みとして永田町やマスコミでも関心を呼んでます。

2002.10.31

「匠フォース」

根本匠です。「内閣府副大臣兼総理大臣補佐官」として国会、総理官邸、霞が関を忙しなく飛び回ってます。

このポスト、(前回の日記でも書きましたが)竹中、石原、鴻池、谷垣の4国務大臣と総理大臣を補佐する役目を担っており、大臣の数からも分かるように守備範囲がとにかく広いのです。

たとえば「経済財政諮問会議」ひとつとっても、国民生活から産業活動まで広範なテーマを扱い、対象から外れるのは外交と防衛ぐらいでしょう。「行政改革」でも道路公団民営化などの特殊法人改革や公務員制度改革、公益法人改革など懸案事項が盛り沢山。話題の「構造改革特区」や「食品安全」も私の担当なのです。

このほか、内閣府の国民生活局も私の守備範囲で、ついさっきまで総理官邸にいたかと思うと、数分後には内閣府の副大臣室で官僚達を相手にバトルトーク(闘論)の真っ最中といった具合に、席の暖まる暇もありません。

副大臣は、「大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、大臣不在の場合、職務を代行する」(国家行政組織法)のが仕事ですが、専任のスタッフはキャリアの秘書官のみ。秘書官がいかに有能でも、スタッフが1人しか付かないというのでは、政治主導の政策決定を実現する狙いから創設された副大臣・政務官制度がうまく機能するはずもありません。これほど広い範囲を担当する副大臣は、恐らく私が初めてでしょう。

政治主導の政策決定を実現するには、総理官邸や役所で仕事をする政治家の補佐役として、有能な官僚をスタッフとして配置せよ、というのが私の持論です。副大臣と総理補佐官を拝命した直後、この持論を実践すべく内閣官房に対し、これまでの議員活動を通じて目をつけていた経済産業省のキャリアを私のスタッフに迎えたいと申し入れてみました。

何とかしたいという気持ちで強く申し入れたところ、内閣官房の回答は「根本匠担当企画官としてならOK」。希望がかなえられました。この人事、実質的な政治任用と言っていいでしょう。

厚生政務次官の時も、それまでの慣例を破ってキャリア官僚が私の秘書官に付き、そのお陰でふつうの政務次官の5倍も10倍も仕事をすることができました。

今度は、内閣府の若く有能な秘書官のほかに、通産大臣秘書官など官僚としての実績を十分に積んでいる企画官が正規のスタッフとして加わったわけですから言うことはありません。

余談ですが、先日、自民党行革本部の太田誠一郎本部長が、行革幹事会でこんなことを仰有ってました。 「小泉総理に対し、大臣補佐官制度の導入を図るなど特命大臣をサポートする体制を強化するよう申し入れたが、根本副大臣は既に、しかも自助努力で“補佐官”を獲得、早速実践に移している」

常勤で私を支えてくれるのは、この“補佐官”と秘書官ですが、この2人のほかにも、テーマごとに政策の企画・立案作業を手伝ってくれる数人の若手官僚を指名しました。

彼らは、ふだんはそれぞれの官庁で勤務、必要に応じて私のもとに駆けつけ、常勤の2人とともに「匠フォース」として根本匠の仕事を強力に支えてくれています。

2002.10.04

“一人四役”で頑張るぞ!

根本匠です。2日付で内閣府副大臣に就任しました。 実は、今回の副大臣人事に関しては「衆議院当選4、5回の議員の中から起用する」といわれていたので、よもや当選3回で無派閥の私が指名されることはないだろうと思っておりました。

ところが、1日の夕刻に総理官邸から突然、「内閣府の副大臣に内定した」と連絡を受け、文字通り「青天の霹靂」です。

平成11年10月に厚生政務次官を辞して以降、少子化対策、救急救命士問題、デフレ対策など様々な政策提言や、改正児童福祉法をはじめとする議員立法など、地道に活動を続けてきたことが評価されたのでしょうか。私の副大臣就任に際して、多くの先輩・同僚議員の方々が「根本匠を」と官邸サイドに熱心に働きかけてくださった、と仄聞しております。感謝の言葉もありません。

さて、3年ぶりに政府に復帰した私には4つの仕事が待っています。

1つは、小泉政権の経済政策の司令塔ともいうべき経済財政諮問会議で、竹中平蔵担当大臣の補佐役です。 内閣改造で体制を刷新した小泉政権の喫緊の課題は「デフレからの脱却」と「不良債権処理の加速」。ともに、一筋縄ではいかない困難なテーマですが、各方面で高い評価を受けた政策提言「脱デフレ日本経済サバイバルプラン」を引っさげて、経済財政諮問会議でのバトルトーク(闘論)に臨むつもりです。

2つめは、行政改革担当の総理補佐官。ここでは、石原信晃行政改革担当大臣の補佐役を務めることになります。NAISグループの仲間であり、「脱デフレ日本経済サバイバルプラン」の“共著者”でもある石原さんと、政府内でタッグを組む機会がこんなに早く訪れるとは思いませんでした。

このほか、食品安全委員会(来年度発足)の担当として谷垣禎一国家公安委員長を、規制改革の目玉である構造改革特区の担当として鴻池祥肇防災担当大臣を補佐することになっております。

どれもこれも難しいけれどやりがいのある仕事です。政策本位の政治を目指す根本匠の政府での活躍にご期待ください。

2002.09.12

東電のトラブル隠しは許し難い背信行為

日本国内では現在、52基の商業用原子炉が稼動中で、発電電力量に占める原子力の比率は実に34%にも達しています。

エネルギー資源の約8割を輸入に頼る我が国にとって原子力発電は、「準」国産のエネルギーとして欠くことのできない存在になっているわけです。原子力へのアレルギーが強い人でも、原発の必要性は認めざるを得ません。

しかし、政府と電力業界が「安全には細心の注意を払っている」と安全性を強調する原発への信頼が完全に失われれば、計画段階の原発はもとより建設中の原発までもが稼動する前に巨大な“墓場”と化すことでしょう。信頼こそが原発の生命線なのです。

ところが、よりによって業界トップの東京電力が長年にわたって原発の自主点検記録を改竄していた。原発の“安全神話”に虚構があったというのですから、どうしようもありません。

私の地元、福島には東電の原子力発電所は2カ所あり、合わせて10基の原子炉が稼動中です。私たちが立地を受け入れたのは、東電という会社を信頼したからですが、その東電は私たちの信頼をものの見事に裏切ってくれました。言いようのない怒りが腹の底からこみ上げてきます。

データの改竄という行為は、トラブル以上に重大な罪です。嘘に弁解の余地はなく、歴代トップを含む5首脳の引責辞任は当然のことです。

一方、実名による内部告発から事実の公表まで2年もかかった当局の対応も、お粗末です。

原子力安全・保安院は「2年の歳月を要したのは、東電が非協力的だったからだ」と釈明してますが、初期の段階で電気事業法に基づき報告を求めるなど厳しい姿勢で臨んでいたら、こんなに時間がかかることはなかったはず。いかなる理由があろうとも、2年は長すぎます。国にも猛省を促す必要があります。

このため自民党福島県連は、東電に対し事実関係の速やかな解明・公表、再発防止策、責任の明確化などを申し入れるとともに、平沼赳夫経済産業相に対しても、原発の安全性の確認、内部告発から公表までの2年間の顛末の調査・公表、検査体制の見直し、再発防止策の強化、情報公開の徹底など「原子力発電施設の安全対策の強化及び立地地域に対する信頼回復について」の要望書を提出しました。

ともあれ、いったん損なわれた信頼を回復するのは容易なことではありません。その努力がおざなりなものであれば、国の原子力政策を根本から見直さざるを得ないでしょう。

2002.06.26

医師との連携で救急救命士の業務拡大を

皆さんは「気管内挿管」という言葉をご存知でしょうか。

呼吸も心臓の鼓動も止まった人の呼吸を一刻も早く回復させるため、喉から肺に向けてチューブを入れ酸素を送り込むことです。今回の『永田町日記』は、この「気管内挿管」など人の命に深く関わる話です。

医師が心肺停止状態の患者に「気管内挿管」を施すことは医療行為であり、医師にのみ許された救急救命処置です。

しかし、場所が病院以外の場合、真っ先に現場に駆けつけるのは救急車、つまり救急救命士です。ある程度の救急処置を施す権限は彼らにも付与されていますが、「気管内挿管」や、医師の指示を受けずに心臓へ電気ショックを与える「除細動」は現行の制度下では認められておりません。

秋田県などの消防本部で「気管内挿管」が恒常的に実施されていた事例がありますが、実は違法行為で、現在は全く行われていません。

しかし、救急車で病院に運び込むまでに、救急救命士が「気管内挿管」や医師の指示を受けずに「除細動」を施すことができたら、もっと多くの人の命を救うことができるかもしれない。現場の救急救命士のそんな思いが私たち政治家の耳元にも届き、自民党の作業部会が発足。私が座長となって、救急救命士にこうした救急救命処置を認めるかどうかについて4月から検討を進めてきました。

その結果、医師の指示を受けない「除細動」と「気管内挿管」について一定の条件の下に「限定的に認めるべきである」との結論に達し、6月21日に坂口力厚生労働相と片山虎之助総務相に正式に申し入れました。

まず「気管内挿管」については、医師の指示の下で常時指導体制や事前・事後のメディカルコントロールを徹底的に行うことを前提に、(1)「気管内挿管」をしなければ気道の確保が困難な場合、(2)必要な教育・訓練を受け認定された救急救命士、に限定して認めるべきであると考えています。

また、医師の指示を受けない「除細動」に関しても、きちんとしたメディカルコントロールが行われることや、新型(2相性波形型)除細動器の早期導入を図ることなどを前提に容認すべきであるというのが私たちの結論です。

このほか、救急救命士による薬剤投与の是非については、薬剤投与のためには高度の医学的判断が必要なこと、医師に対する必要十分な情報の伝達に不安があることから「なお慎重に検討すべきである」という考え方に立ち、専門的な意見を集約し早期に結論を出すべきである、と申し入れました。

救急救命士による「気管内挿管」については、技術が未熟なために患者を傷つけ取り返しのつかない事態を生じる恐れもあると指摘する向きもありますが、助かる命を救うことが先決。そのための条件整備を急ぐべきであるというのが私たち政治家が下した結論です。

政府部内でも現在、厚労省と総務省・消防庁の検討会でこの問題が議論されていますが、私たち政治家の役割は救急救命士の業務拡大について方向性や道筋をつけること。行政の役割はその先、専門的な見地から具体策を練っていくことで、私たちの提言が行政の検討作業に弾みをつけ、救急救命士による「気管内挿管」と医師の指示を受けない「除細動」の早期実施に向けた体制整備が一日も早く実現することを期待したいものです。

2002.06.01

頑張れニッポン!「産業再生」を後押しだ!

小泉内閣の支持率低下が続いています。朝日新聞や時事通信社の世論調査では、40%の大台を割り込み、ほかの世論調査でも不支持が支持を上回るなど、芳しくない結果が相次いで発表されてます。

中国・瀋陽の総領事館で起きた亡命者連行事件を巡る外務省のお粗末な対応や、政治家の「カネ」を巡る不祥事の続発などが響いているようですが、支持率が下がったといっても、歴代内閣と比べれば決して低い数字ではありません。小泉総理には、支持率の変動に一喜一憂せず、一途に「構造改革断行」の初心を貫いてほしいものです。

昨年春の自民党総裁選で小泉さんを担ぎ、小泉政権誕生の原動力となったのは私たち党改革派の若手議員たちです。それから1年余、小泉総理を支える私の気持ちに変わりはありません。党務などに忙殺されながらも、小泉政権の構造改革路線を後押しする政策の企画・立案や「根本匠発」の政策提言活動に取り組んでおります。

先日もこんなことがありました。

<企業買収の税軽減 投資ファンドを支援 経産省検討>

日本経済新聞にこんな見出しの記事が掲載されていたので、中身を読むと「経済産業省は、投資ファンドが大企業の不採算部門を買収する際に繰越欠損金の引き継ぎを認めて税負担を軽減することを財務省などに要望する」という。

経営源を有効活用できず業績が低迷している企業に、不採算部門を切り離し事業を再構築するよう促す一方で、投資ファンドによる事業の再生を政策的に支援するというわけですが、このアイデア、私が「脱デフレ日本経済サバイバルプラン」で打ち出した「日本経済サバイバルファンド」とうり2つ。

そこで、経産省の担当者に質したところ、「根本代議士の政策提言をヒントにスキーム(枠組み)をつくりました」との答が返ってきました。私のアイデアがちゃっかり“借用”されたわけですが、正直言って悪い気はしません。私の狙い通りに実現するのであれば、政策提言のしがいがあるというものです。

政府は5月の月例経済報告で景気の「底入れ」を宣言しましたが、実体経済は依然厳しい状況にあります。日本経済を10年以上も苦しめ続けているデフレからも未だに抜け出せずにいます。

そうした中で、経済を再生させるためには、不良債権処理などの金融再生への取り組みと併せ、産業全体のパフォーマンスを向上させる産業再生が不可欠。具体的には、(1)過剰債務が足かせとなって経営革新が進まない企業の再建、(2)新たな事業の再構築が必要な中小・中堅企業の活性化、(3)先端的な技術を有し、成長可能性の高いベンチャー企業の育成−−などを一体として支援していく必要があります。

しかし、産業分野への資金供給は、肝心要の金融仲介機能の低下で思うように進まないのが実情。産業再生に向けた資金供給を促進するには、直接投資機能を大幅に拡充し、政策的に支援する枠組みが不可欠なのです。

主役は、あくまでも「民」。その「民」の活動を政府が後押ししようというのが、私が提言している「日本経済サバイバルファンド」です。企業、そして産業の再生なくしてデフレからの脱却はあり得ません。

2002.05.17

未来への先行投資

米国の格付け会社が、日本国債と同格だったイタリア国債の格付けを1段階引き上げると発表、日本国債の格付けは先進7カ国(G7)の中でとうとう「単独最下位」となってしまいました。

なぜ、世界最大の債権国が最低の格付けなのか。反論したいことは山ほどありますが、歳出の節減・合理化への取り組みが十分でなかったために国債の増発に大きく依存せざるを得なかったという、“過去”の財政政策に問題があったことは否定できないでしょう。

しかし、“現在”の、小泉政権の財政政策にこの批判は当たりません。

ご存知のように小泉純一郎首相は、「国債の新規発行を30兆円以内に抑制する」との公約を掲げ、今年度当初予算でその公約を達成しました。特殊法人改革の中で年間5兆円に上る特殊法人向け支出を1兆円も削り込むなど、歳出カットをはじめとする財政構造改革に果敢に取り組んだからです。

総理大臣が強力なリーダーシップを発揮すれば、このように政治的に困難とされていることも可能になるのです。

自民、公明、保守の与党3党は、6月中を目処に「第2次デフレ対策」を策定すべく作業を進めていますが、仮に追加的な財政措置が必要になっても安易に国債増発に頼らず、歳出カットなどの努力により財源を捻出すべきです。

このデフレ対策については、私も「脱デフレ日本経済サバイバルプラン」※の中で民間企業の実用化技術への思い切った支援を提言してますが、この財源も今年度予算の歳出見直しなどで捻出できるのです。

日本経済の現状は、地価と株価の下落による資産デフレと、中国などからの安価な工業製品がどんどん入ってくる国際的な大競争によるデフレに同時に見舞われています。

この「双子のデフレ」に対処するには、不良債権処理や土地税制軽減などの資産デフレ対策だけでは足りず、企業の国際競争力強化のため、研究開発促進税制の拡充や戦略的技術の産業化支援など、民間企業の実用化技術に対する支援を思い切って強化する必要があります。

たとえば、国が年間5000億円を拠出し、民間からも1兆円程度を募って、情報家電や燃料電池など市場創出効果が高く、実用化の一歩手前まできている技術の開発を中心とした技術開発分野に重点的に投入。産学官の総力を結集して集中的に推進すれば、3年後には「12兆円規模の市場」と「20万人規模の新規雇用」を生み出すことも決して夢ではありません。旧来型の公共事業よりもはるかに高い「呼び水」効果が期待できるはずです。

これまでの研究開発に対する国の支援は、基礎研究が中心でした。それはもちろん大事ですが、中国などの追い上げに対抗し、日本の製造業の活力を呼び戻すには、こうした実用化に直接つながり、短期間で成果の表れる技術への支援が必要です。

と同時に、特許制度や産・学・官連携の強化などにも取り組み、技術開発政策を戦略的に進めていく必要があります。

もう1つ、忘れてならないのが「未来への先行投資」、人材の育成です。ここでは教育が重要になってきます。

米国のシリコンバレーは、中国人の留学生で溢れ、IT分野の中核技術の吸収に熱心だそうです。

前回の『トピックス』でも書きましたが、4月にスタートした新しい学習指導要領の下での「総合学習」は、教育に「ゆとり」を持たせ、自ら学び自ら考える力など「生きる力」を育むのが狙いです。しかし、こうした中国の若者たちのように自立心にあふれた人材を、理科などの学習内容を3割も削った「ゆとり教育」の中で育てていくのは至難の業です。

理念が先行し、張りぼてのような「ゆとり教育」に一刻も早く「たましい」を吹き込まないと、日本は大変なことになります。

2002.04.01

文部科学省だけに「教育」を任せるわけにはいかない

全国の公立学校と幼稚園が、新学期から「完全週5日制」に移行、土曜日がすべて休みとなります。新しい学習指導要領の下で学習内容が3割カットされ、教科書を使わない「総合学習」もスタートします。

教育に「ゆとり」を持たせ、自ら学び自ら考える力など「生きる力」を育むのが狙いですが、何をどうすれば目的を達成できるのか、教育の現場には今なお戸惑いが見られ、それを見守る父兄の間には不安が広がってます。なぜこんなことになったのでしょう。

理由は、明々白々。文部科学省の教育政策が、空理空論の理念主義に陥っているからです。

ふつう政策は、その目的を達成するためにいかなる政策対応が必要かを子細に検討し、具体的な政策手段を用意した上で実行に移すものです。介護にしても医療にしても、年金にしてもきちんとした制度を作るから安心して介護サービスが受けられるし、年金が貰えるわけです。 「ゆとり教育というけど、どのように実現していくの?」

文部官僚にこう質すと、「それは教育委員会の仕事です」という答えが返ってきました。実現の手段は現場に任せるというわけですが、新学期が始まるまでにどれだけの教育委員会と学校が「ゆとり教育」の準備を整えることができたでしょうか。甚だ疑問と言わざるを得ません。

理念だけを示し、「あとは教育委員会に任せたぞ」という文部科学省の対応はどう考えても無責任です。

モデル事業やシュミレーションを事前に行った形跡もない。何のデータもなく、「ゆとり教育」をスタートさせるとは。

公共事業など多くの分野で政策評価が行われているが、文部科学省には政策評価の視点が全くない。いきなり“本番”に入り、社会実験でもするつもりなのでしょうか。

ともあれ、このままではかなりの学校間・地域間格差が生じる恐れがあります。「ゆとり教育」に「たましい」を吹き込むにはどうすればいいのでしょう。

文部科学省が政策手段を考えないのなら、考える力を伸ばすための教育を学校同士に競わせるのも一案です。研究開発の成果を評価する「ピュア・レビュー」のような評価システムを導入する手もあります。インターネットが普及しているのですから、教室での授業風景を家庭でいつも見られるようにする「毎日が授業参観日」というアイデアを検討してもいいでしょう。

いずれにせよ、教育を行政だけに任せず、学校、家庭、地域社会の3者が手を携え取り組んでいく必要があります。そして、こうした連携の中で学校がどういう役割を担うべきかを、基本に立ち戻って考えていくべきでしょう。

2002.02.27

デフレ退治の処方箋

根本匠です。

日本経済の現状は、デフレが一段と深刻化し、物価の下落と厳しい経済状況が悪循環を起こすデフレ・スパイラルとも言える状態に陥っています。「3月危機」説が囁かれる中、デフレから脱却し、経済を持続的な成長軌道に復帰させることは喫緊の課題であり、不良債権処理など構造改革の果実を得るためにもデフレ対策の早急な実施が求められています。

そこで、政府と自民党の総合デフレ対策の策定に先立ち、私自身の手でまとめ上げた緊急提言「3月危機にどう対処するか?−危機回避の処方箋−」を先日、関係方面に提出、そのさわりが産経新聞(22日付夕刊「脱デフレ法制定含む私案 自民・根本氏」)にも掲載されました。

今後、詳細を詰めた上で、3月中を目途に包括的なデフレ退治の処方箋として正式発表する予定ですが、ここではその骨子を紹介します。

I.不良債権処理へのさらなる取り組み

(1)不良債権のオフバランス化は上場企業問題

●オフバランス化の対象は、産業再生に直結する上場企業
*流通、ノンバンク、建設、不動産

●公的資金の再注入問題は、論点整理が必要

●ペイオフは4月1日解禁
*システミックリスク発生時には預金保険法102条で全額保護

●「脱デフレ早期健全化法」(仮称)の制定
*デフレ要因を織り込んだ予防的引き当てと公的資金注入
*「後追い・先送り型」から「先取り・先行型」へ

(2)中小企業「金融」対策の早期実施

●地域金融機関は中小企業の特性を注視せよ

●金融検査マニュアルの改善
*新マニュアルの策定
*現行マニュアルの弾力的運用(判例集の策定、意見申出制度の活用)

●信用補完制度の拡充・改善
*創業者向け保証制度、売掛債権担保融資に対する公的保証制度等の積極活用
*金融安定化特別保証制度の返済条件緩和、再開

II.マクロ政策等のさらなる展開

(1)土地対策・証券市場活性化策

●土地対策
*登録免許税・不動産取得税など土地取引に係る税の軽減、土地流動化を促進する固
定資産税の軽減、住宅取得贈与に関する特例措置の大幅拡充、等
*都市計画の見直しによる都市再生プロジェクトの推進、容積率・建蔽率の緩和、等

●証券市場活性化策
*証券税制の簡素化、株式取得贈与に関する特例措置の創設、投資優遇税制、等

(2)金融財政政策

●金融のさらなる量的緩和
*事実上のインフレターゲットの設定
*金融政策の総動員

●財投の活用
*政策金融機関による「民」の補完

●効果的な需要創出策の実施
*「国債新規発行30兆円以内」の精神は堅持

骨子からもお分かりいただけるように、小泉内閣が取り組んでいる不良債権の最終処理(オフバランス化)の本質は、「上場企業問題」なのです。地場産業などの中小企業も多額の不良債権を抱えていますが、その原因や経緯は上場企業のそれとは全く異なります。

中小企業は、大企業よりも景気循環の影響を受けやすく、景気低迷期には、景気変動に起因する「摩擦的な不良債権」が増加する傾向にある。しかも、資産デフレによって担保価値が下落した結果、金融機関の新規融資が受け難くなり、業績回復を図ろうにも図れない状況にあります。

こうした特徴を持つ中小企業の不良債権をどんどんオフバランス化していけば、倒産の多発などで地域経済を混乱させ、産業再生を阻害しかねません。だから、オフバランス化のターゲットは、上場企業(流通、ノンバンク、建設、不動産)に絞り込むべきであり、併せて金融再生を図ることを政策の中心に据えるべきなのです。

一方、金融がその機能を回復するまでの間、貸し渋りや貸し剥がしに喘ぐ中小企業に対し、信用補完制度の拡充・改善などの政策的な対応(中小企業「金融」対策)が必要です。モラルハザードが起きぬよう留意しつつ、意欲ある中小企業の創業・経営革新を支援するとともに、連鎖破綻の回避や経営立て直しを支援するため、セーフティネットの一層の充実を図る必要があります。

中小企業に円滑に資金を供給するための具体的な政策支援の手段として、創業者向け保証制度や昨年11月に創設された売掛債権担保融資に対する公的保証制度などを積極活用。このほか、総合デフレ対策の一環として、モラルハザードの回避策を設けることを条件に金融安定化特別保証制度(特別保証30兆円枠、昨年3月末で廃止)の返済条件の変更や同制度の再開も検討すべきでしょう。

起業により雇用吸収力のある新規企業が続々誕生することも重要ですが、中小企業の分野における産業再生の最大の眼目は、潜在能力を持ちやる気のある既存の中小企業が頑張って再生を果たすことです。

2002.02.05

支持率下がっても「改革」は進む

根本匠です。

外務省がアフガニスタン支援国会議への一部NGO(非政府組織)の参加を拒否した問題は、田中真紀子外相の更迭という事態に発展しました。"超"が付くほどの高い人気を誇る田中さんのクビを切ったことで小泉内閣の支持率が急落、今後の政権運営を懸念する声も出ているようですが、この問題での総理の対応が正しく理解されれば、逆風も収まるはずです。

今回は、この問題を私なりに整理してみます。

まず、外務省が一部NGOの会議参加をいったん拒否したことについてですが、その際に特定の政治家から意見や働きかけがあったのかどうかということも含め、事前に大臣に伝え、指示を仰ぐのがスジです。

それをしなかったのは、明らかに事務方の怠慢。これまで地雷除去対策などで極めて大きな役割を果たしてきたNGOを会議に参加させないとの判断は到底理解し難い。

この件を大臣にちゃんと上げておけば、「何バカなこと言ってるの、参加を認めなさい!」と田中さんが一喝して一件落着。こんな騒動にならずに済んだわけですから、外務官僚の責任は極めて重大です。

NGO外しが新聞などで報道され、問題になってから慌てて方針を転換、そのNGOに急きょ参加を求めたことも理解し難い。

判断がコロコロ変わるようでは行政への信頼など築ける筈もないし、政治家の圧力があったことを認めたと受け取られても仕方ない。実にお粗末な対応です。

その後、国会で田中外相と事務次官のいずれが嘘をついたのかという、本質的でないことが問題になり、今年度第2次補正予算案の審議を紛糾させる結果となりました。しかし、補正予算の早期成立が求められている状況下で、野党が予算案を人質に取り、政府の統一見解の中身が不満だからと審議を中断させたことは本末転倒と言わざるを得ません。

小泉総理は結局、外相と事務次官を更迭、さらには「NGOを排除しろと外務省に圧力をかけた」とされる鈴木宗男衆院議院運営委員長にも辞任を求めることで事態の収拾を図ったわけですが、この「決断」には2つの背景があります。

1つは、経済情勢が一段と厳しさを増す中、補正予算案に続いて来年度当初予算案の審議も控えており、審議を遅らせることが許されない状況にあったこと。迂闊に野党の挑発に乗れば、政局は大混乱に陥り、経済に悪影響を及ぼすことが必至なだけに総理の判断は適切だったと言えます。

もう1つは、外交への影響。日米(ブッシュ大統領の訪日)、日韓(総理訪韓と日韓サッカーW杯の成功)、日露(総理訪露と北方領土問題の進展)、日中(国交回復30周年)などの外交日程が目白押しで、外交の正常化を急ぐ必要があります。

以上のことから、小泉総理の今回の「決断」は、熟慮の末のやむを得ざる「決断」だったと言えます。

今回の騒動の責任を取って辞任した田中さんは、総理も「これまで多大な貢献をしてもらった」と言われているように、外務省改革で孤軍奮闘され、外交を国民にとって身近なものにしてくれました。引き際も、総理の言葉を借りれば「潔い身の処し方」だったと思います。

人気者の田中真紀子さんが去って支持率が下がりましたが、小泉内閣の構造改革路線が変更されることはありません。「支持率が下がっても改革の手は緩めず、断固としてやる」という総理の決意を、私は支持します。

2002.01.16

「改革」阻む根拠なき金融不安

根本匠です。

小泉総理がASEAN歴訪から帰国、「聖域なき構造改革」の歯車が再び回り始めました。

前回の日記でも指摘したように、日本はいま、「繁栄か衰退か」の分水嶺に差し掛かっています。改革を進めていく上で様々な困難に直面することが予想されますが、是が非でも成し遂げなければなりません。

経済では、特に金融分野について懸念要因があります。風評がもたらす金融不安です。

早期是正措置という言葉をご存知でしょうか。金融庁が金融機関に対し業務改善計画の提出など経営の改善を指導する措置のことです。

健全経営の目安となる自己資本比率が一定の水準を下回る金融機関の経営を改善し、健全性を確保するための、銀行法に基づく破綻防止策なのですが、早期是正措置が発動されると、「あの金融機関は危ないらしい」という無責任な噂が立つことがしばしばある。実に困ったことです。

いかなる事態が生じようと、制度的には金融危機管理の仕組みが構築されているし、小泉総理も年頭の記者会見で「金融危機を起こさないためにあらゆる手段を講じる」と、危機回避に全力を挙げる意向を表明しました。皆様には、根拠のない風評に惑わされることのないよう慎重な対応をお願い致します。

ともあれ、日本はいま、デフレが一段と深刻化しかねないという厳しい経済情勢下で、21世紀の日本の大きな枠組みの構築を進めていくという長期的な視点に立った取り組みが求められています。

小泉総理が今年の課題として挙げている税制の抜本改革も、その一環として進められるもので、私も党税調の幹事として税制改革論議に積極的に加わろうと思います。

昨年末に方向性が示された特殊法人改革も、今年は具体化に向けた作業に一段と拍車がかかる見通しです。私は、党の行革推進本部次長のほかに、住宅土地調査会・住宅金融小委員会の事務局長として、民間住宅ローンの証券化支援や住宅金融公庫の直接融資の在り方など、今後の住宅金融の方向性についての検討を受け持つことになります。

小泉総理の持論である郵政3事業の民営化問題では、今年夏までに「郵政3事業の在り方について考える懇談会」の結論がまとまり、民営化の方向を探っていくことになります。この問題でも、議論が沸騰する前に根本匠としての考え方を整理しておこうと思います。

社会保障改革では、年金と介護保険についてはあらかた整理ができていますので、今年は医療制度改革や小児医療の在り方などについて、従来よりも踏み込んだ政策提言をまとめる予定です。

2002.01.01

天翔ける天馬のように

あけましておめでとうございます。

今年の干支は「午(うま)」。兜町の格言集によれば、丑年の相場は「午尻下がり」と言われています。

12年前の1990年は、前年の大納会(12月29日)で付けた史上最高値(3万8915円)から一気に下げ相場の展開となり、秋には2万221円(10月1日)まで1万8000円以上も下落しました。

もちろん経済は生き物であり、市場が格言通りに動くとは限りません。天翔ける天馬のように、日本経済が今年中に上昇気流に乗ることを期待したいものです。

とはいえ、今年は厳しい年になるでしょう。大底からのスタートと言っていいかもしれません。

景気がこんな状態になると必ず浮上するのが、景気回復と構造改革の「二兎は追えないのか?」という議論ですが、「構造改革なくして景気回復なし」という小泉改革路線は今後とも堅持する必要があります。

財政出動のカンフル剤を打てば成長率は上がるかもしれないが、単に下支えするだけの効果にとどまり、経済の再生に必要な構造改革を遅らせる結果となりかねません。小渕・森政権の下で進められた景気最優先の総需要政策がそうでした。

政策の軸はあくまでも、日本再生、経済再生最優先。今年は1990年代の「失われた10年」を取り戻す最後の挑戦の年です。

日本はいま、「繁栄か衰退か」の分水嶺に差し掛かっています。状況は厳しいけれども、ピンチをチャンスに変えなければなりません。

一部のエコノミストや雑誌ジャーナリズムが、「本当の大不況がやってくる」とか「クラッシュ(大崩落)が起きる」などと騒ぎ立てていますが、不必要に危機感を煽るべきではありません。

仮に、経済が底割れするような事態になりかけたら、「大胆かつ柔軟」(小泉総理)、つまり、小泉改革の本質(「構造改革なくして景気回復なし」)を踏み外さない範囲で機動的・弾力的に対応すればいいのです。大事なことは経済の危機管理という視点を持ちながら、冷静に事態をみることです。

金融についても同様のことが言えます。

金融機関は、健全度の目安となる自己資本比率が基準を守っていても、風評に弱い。どんなに健全な金融機関でも、風評により取り付け騒ぎなどの流動性危機に陥ることがあり得ますが、制度面での対応は既に整っています。

皆さんにお願いしたいのは、風評に惑わされないでいただきたい、あまり過敏にならないでいただきたいということです。

いずれにしましても、今年は、政治も経済も国家戦略の視点をキチンと見据えて、ダイナミックかつ改革すべきものは迅速に改革すべき年です。

小泉総理は政策センスに優れた人です。今年も総理のリーダーシップの下で政策が動いていくでしょう。

そうした中で、小泉改革路線を支える私たちの仕事は、政策に厚みを付けていくことです。政治家にとっても間違いなく厳しい年になるでしょうが、根本匠は、改革を実行する責任と説明責任(アカウンタビリティ)をキチンと果たす政治家でありたいと考えております。