344日間の軌跡
平成30年(2018年)10月、根本匠は第4次安倍改造内閣で厚生労働大臣を拝命した。国民が政府に期待する上位五分野のうち四分野(①社会保障、②高齢社会対策、③雇用・労働問題、④少子化対策)が厚生労働省の所管で、予算規模もダントツ、国の一般会計の3分の1を占める巨大官庁である。担当するテーマは、健康、医療、年金、福祉、介護、障害者、子ども・子育て、雇用労働、戦没者遺族への援護と多岐にわたる。児童虐待、ひきこもり、自殺、セクハラ・パワハラ、女性活躍、麻薬取締なども担当している。在任中に、山積する様々な政策課題への対応に加え、過去15年にわたり続けられてきた「統計不正」への対処という厳しい問題にも直面することになる。就任直後の第197臨時国会と、統計問題が焦点となった第198通常国会。この2つの国会において、厚生労働省の事務方が衆参の本会議や予算委員会、厚生労働委員会などでの大臣答弁のために準備した想定問答の数は、通常の大臣であれば1,000本を超えることはほとんどない中、臨時国会が539本、通常国会が3,113本の合計3,652本にも上った。激務の中で根本は、自らの政治信条を凝縮させた。厚生労働省職員の先頭に立ち、職員とともに344日間の激闘の日々を駆け抜けていく。
平成30年(2018年)10月1日午後9時過ぎ、安倍晋三総理大臣から電話が入る。再入閣の要請であった。翌朝、安倍総理から告げられたポストは厚生労働大臣。その電話で総理は「やれるのは根本さんしかいない」と付け加えた。
翌2日、第四次安倍第一次改造内閣が発足。根本は大臣就任挨拶で「誰もがより長く元気に活躍できる社会を実現していくため、健康寿命の延伸や多様な就労、社会参加の環境整備など、生涯現役時代に向けた雇用・社会保障改革に取り組んでまいります」と述べた。
平成30年10月25日、食品衛生思想の普及向上や業界の指導育成などに特に顕著な功績があった方や、優良な食品衛生施設に対し表彰を行う「平成30年度食品衛生功労者・食品衛生優良施設表彰式」を開催、挨拶。
平成30年11月9日、発展途上国の人々の健康状態を改善し、貧困からの自立を支援する取り組みを行なっているビル&メリンダ・ゲイツ財団のビル・ゲイツ議長の表敬訪問を受け、国際保健分野の取り組みについて意見交換を行った。
平成30年12月19日、多機能型支援事業所コラッジョ、ハローワーク郡山、郡山市役所、ニコニコこども館、郡山看護専門学校、特別養護老人ホーム玉川ホームなど、郡山市内にある厚生労働関係の各種施設を視察。
平成31年1月9日、厚生労働省と都道府県、日本赤十字社で毎年1月1日から2月28日まで実施している「はたちの献血」キャンペーンの記者発表会。二十歳を迎えた新成人に献血への協力を「乃木坂46」のみなさんと呼び掛けた。
平成31年3月23日、硫黄島で日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式を開催。この式典は、日米両国の退役軍人とその遺族などが合同で硫黄島戦の戦没者に対して慰霊・顕彰を行うもので、根本の父である故・正良氏が後半生に心血を注いできた事業。今回は息子が主催者。
令和元年5月27日、眞子内親王殿下のご臨席のもと、千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式を挙行。政府の遺骨収集事業によりロシア、東部ニューギニアなどで収容した戦没者のご遺骨のうち、ご遺族に引き渡すことができない925柱を同墓苑に納骨した。
令和元年8月6日広島市で行われた「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」、8月9日長崎市で行われた「被爆74周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に参列。原爆死没者の霊を慰め、哀悼の意と世界の恒久平和の実現に向けての祈りを込めて黙祷を捧げた。
令和元年8月15日、先の大戦で亡くなられた方々に追悼の誠を捧げ、平和を祈念するため日本武道館で「全国戦没者追悼式」を開催。式典では、天皇皇后両陛下のご案内役をつとめ、総理大臣、国務大臣、遺族代表の方々など約6,000人が参列した。
平成31年1月25日、厚生労働省が経済産業省などと連携し、2040年頃の人と先端技術が共生する未来の健康・医療・介護について検討する「第1回未来イノベーションワーキンググループ」で訓示。3月19日に中間取りまとめ報告書を受け取った。
平成31年3月4日、厚生労働省内食堂で「注文をまちがえる料理店」を開催。「注文をまちがえる料理店」とは、注文や配膳の間違いがあっても寛容な心で受け入れるなど、認知症の人にやさしい社会づくりに向けて、認知症への理解を深めてもらうことを目的とした企画。
平成31年4月25日、厚生労働省の若手職員が自由な発想で議論し、厚生労働省改革につなげる「厚生労働省改革若手ホーム」が発足。若手職員に向けて「疾風に勁草を知る」との言葉を送った。
令和元年6月28日、G20財務大臣・保健大臣合同セッションを大阪府で開催、根本は麻生財務大臣と共に共同議長を勤める。日本が国民皆保険を達成し維持してきた経験と、保険当局と財政当局の密接な連携の重要性について強調した。
令和元年7月4日、第53回中央最低賃金審議会を開催。根本は「より早期の全国加重平均1,000円の実現への第一歩となるようにご審議のほどよろしくお願いいたします」と協力を求めた。
令和元年9月1日・2日、G20の分野別閣僚級会合であるG20労働雇用大臣会合を愛媛県松山市で開催。根本は議長を務め、高齢期でも働ける環境を整備し、長く働くことの魅力を向上させることを盛り込んだ大臣宣言を採択した。