日本経済サバイバルプラン - 1
不良債権の抜本的処理と金融再生、産業再生、都市再生、そして資産デフレの是正へ・・・負の連鎖を断ち切るために・・・
衆議院議員 根本 匠
衆議院議員 石原 伸晃
不良債権問題に関するこれまでの施策体系と今後取り組むべき施策の基本方向
〔問題の本質:不良債権の抜本的処理の必要性〕
現在日本経済がデフレの淵にある中で、その構造改革、活性化のためには、不良債権の抜本的な処理を通じた、過剰な設備や債務を抱えた産業の再編、土地の流動化と都市再生、資産デフレの是正が喫緊の課題。
〔第1ステージ:土地・債権流動化トータルプラン(98年4月)〕
これまで、不良債権の処理については、第1ステージとして、3年前に経済対策の大きな柱として、"土地・債権流動化トータルプラン"(1998.4)をまとめ、不良債権の実態解明、複雑な権利関係の整理、不良債権の流動化、担保不動産の有効利用や土地取引の活性化などの総合戦略について、実施スケジュールを提示して、不良債権等の実質的な処理を進めるための道具立てと条件整備を推進。
1.債権債務関係の処理の円滑化
- サービサー制度の創設
- 債権放棄にかかる税務上の取扱の明確
- 競売手続円滑化法の施行
- 再建型倒産法制の整備[民事再生法]
- 共同債権買取機構の機能拡充
2.虫食い土地の集約・整形化
- 都市基盤整備公団の活用
[出資金等 3,000億円] - 都市開発のスピードアップのための制度改善
- 競売手続円滑化法の施行
- 再建型倒産法制の整備[民事再生法]
- 共同債権買取機構の機能拡充
3.都市の再構築のための公的土地需要の創出
〔第2ステージ:金融再生トータルプラン(98年6、7月)〕
さらに、第2のステージとして、金融システムの立て直しと安定化をより強力に進めることが重要との視点から、金融機関の再編合理化等の構造改革を促す"金融再生トータルプラン"(1998.6-7)を策定。具体的には、金融監督庁の設置により、公正で透明性の高い金融行政を整備するとともに、金融機関の自己査定、監査法人による外部監査、金融監督庁による検査等を通じ、市場規律の徹底による不良債権処理を実施するとともに、金融再生法による預金者と健全な借り手保護に配慮した破綻処理の促進、早期健全化法による資本注入等を行い、金融システムの安定化や金融機関の再編を促進してきた。
〔不良債権処理の進展、求められる最終処理〕
土地・債権流動化トータルプランや金融再生トータルプランを策定したことにより、金融機関の抱えていた不良債権の処理はこの3年間で10兆円にのぼる直接償却が行われるなど相当に進展した。一方で、開示基準適用の一層の厳格化が進み、また経済情勢の悪化もあって新たな不良債権も増えており、今後の日本経済の再生を進める上で、"抜本的な不良債権の最終処理"が今改めて求められている。
最終処理策の基本方針
〔実態分析・これまでの施策体系・講ずべき施策の包括提示〕
不良債権問題の最終的な解決のためには、不良債権処理のこれまでの実態、そして現在の状況を的確に把握し、これまでに取り組んできた施策の体系と、今後講ずべき施策を包括的に提示することが必要。
個々の施策の有機的な関係や不良債権処理のメカニズムについて、道すじを明らかにして、不良債権処理のビジョンを明示すべき。
今後の課題
〔不良債権の最終処理による金融・産業・都市再生そして資産デフレの是正〕
今後の課題は、抜本的な不良債権の最終的な処理を通じて、(1)金融機能の回復と再生、(2)流通業、不動産業、建設業、ノンバンクなどの債務超過企業の存する産業の再生、(3)担保不動産をはじめとする土地の流動化の促進と都市の再生、資産デフレの是正を図ることである。
〔ファイナルステージ:日本経済サバイバルプラン〕
このため、抜本的な不良債権処理のファイナルステージとして、新たなトータルプラン(日本経済サバイバルプラン)を作成し、不良債権の実態解明、土地・債権流動化、金融再生、産業再生、都市再生、資産デフレの是正などの施策を包括的に網羅した総合戦略を取りまとめ、政治主導の下、3年以内にスピーディに進める必要がある。
中でも、金融機関の有する不良債権とその担保不動産を塩漬けにすることなく、市場に出すことによって底値を形成するための受け皿として「サバイバルファンド」を創設する。ファンドはそれらの不良債権・担保不動産を取得した上で証券化することにより、マーケット・メカニズムを働かせるとともに、我が国のABS市場を育成・形成することで、不良債権の抜本的処理を促進する。
日本経済サバイバルプラン - 1