これが年金改革だ・・・「年金なんかこわくない」 - 1
−政治家なら、こう説得する−
I.公的年金とは何か 〜社会的連帯の理念による老後の安心保障〜
II.年金改革 〜保険料負担増の緩和と給付の伸びの抑制〜
【改革のポイント1 給付の伸びを抑制しても、将来『安心して暮らせる額』を保証】
【改革のポイント2 負担は『無理なく払える負担』に】
【改革のポイント3 手取り収入は増える】
【改革のポイント4 年金は老後生活の安心保障】
【改革のポイント5 『公』と『私』の役割分担】
【改革のポイント6 保険料緩和のためのいくつかの方策】
【改革のポイント7 基礎年金の国庫負担率の引上げ】
* * *
I. 公的年金とは何か 〜社会的連帯の理念による老後の安心保障〜
公的年金は、基本的に、現役世代の保険料で高齢者世代の給付を賄って成り立っている制度であり、「社会的連帯」の理念に基づく「世代間扶養」の制度です。 わかりやすく言えば、社会全体での「子から親への仕送り」です。
年金制度を将来の世代まで保障できるようにするためには、(1)少子高齢化等の人口構成の変化、(2)給付されるべき年金額の水準、(3)現役世代の負担能力、などをすべて考慮して、長期的な視野に立って制度を設計しなければなりません。
公的年金は、現在23.7万円(厚生年金、1998年度、夫婦2人)という先進諸国にも遜色ない水準になっています。年金は老後の安心保障ですから、現行制度では、この額を、物価や現役世代の手取り賃金が伸びた分将来も伸ばすようにしています。 このように年金額が増え、また高齢者数も増える結果、将来の給付総額は増加していきます。
これを少なくなる現役世代が賄うためには、段階的に保険料を引き上げる必要があります。現行制度のままでは、現在の月収の17.35%から34.5%に(厚生年金、2025年度)、現在の月13,300円から月26,400円に(国民年金、2025年度、平成11年度価格)引き上げることになります。(厚生年金の保険料は半分が企業負担ですから、本人の負担は月収の8.675%から17.25%になることになります。)
II. 年金改革 〜保険料負担増の緩和と給付の伸びの抑制〜
近年、少子化の進行、平均寿命の伸びなどにより、予想を超える急速な少子高齢化が進行しています。経済基調も変化しており、これまでのような高い賃金上昇は見込めなくなっています。企業の国際競争力を保つために事業主負担の過度の上昇を避けることも考えるべきです。
このような状況に照らして、公的年金制度の在り方を考えるならば、“負担は「無理なく払える負担」の範囲内に抑え、給付は「安心して暮らせる額」の範囲内で伸びを抑制する”方向での改革が必要です。
これが年金改革だ・・・「年金なんかこわくない」 - 1