メニューを飛ばして本文へ

根本 匠ねもと たくみ

自民党東日本大震災復興加速化本部長
国家基本政策委員長 衆議院議員
福島県第二選挙区支部郡山市/須賀川市・鏡石町・天栄村/田村市・三春町
・小野町/石川町・玉川村・平田村・浅川町・古殿町

JR只見線の復旧に向けて

東日本大震災から4ヶ月後の平成23(2011)年7月に発生した新潟・福島豪雨により、只見線は会津川口~会津大塩間で只見川第5・第6・第7の3つの橋梁が、また会津坂本~会津柳津間で路盤が流出し、会津川口~只見間27. 6kmが不通となった。福島県は、豪雪地帯である奥会津地域の重要かつ貴重な交通手段である只見線の復旧に向けて動き出し、自由民主党福島県支部連合会も最大の政策課題と位置付ける。しかし、現行の鉄道軌道整備法では、大規模な災害を受けた鉄道事業者の経営が「赤字」である場合は補助できるが、只見線は「黒字」経営を続けてきたJR東日本の路線であり、赤字ローカル線ではあるものの、現行の法制度では「補助の対象外」になるという。

そのとき、匠が動いた!

党県連会長の根本匠が動き出す。只見線の復旧を実現するには、黒字の鉄道事業者の赤字路線でも、大規模な災害を受けたときの補助制度を追加する鉄道軌道整備法の改正が必要。ここ数年、自然災害等で被害を受ける鉄道路線が増えてきており、現在の鉄道軌道整備法では復旧できる路線も復旧できなくなる。改正案は黒字の鉄道事業者も対象とすることから、現行制度に比べて要件を厳しくする必要があった。そこで、①復旧費用が被災を受けた路線の年間収入以上であること、②被害を受けた路線が過去3年間赤字であること、③復旧後、効率的な運営により災害発生前と比べて経営収支を改善し、将来にわたって運行を確保することを交付基準とした。さらに、国の補助割合を現行の「1/4以内」から「1/3以内」に変更し、残る2/3は福島県とJR東日本で折半することとで決着。平成29(2017)年6月19日、福島県とJR東日本との間で、只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」が締結された。
その中で、福島県が鉄道施設や土地を保有し、JR東日本が列車の運行を担う「上下分離方式」で復旧させるとの方針が盛り込まれたが、国の補助割合「1/3以内」に変更する案に思わぬところ(北海道)から反対の声が上がり、国の補助割合「1/3以内」を見込んで予算編成をしていた福島県は、この知らせに慌てる。「1/4以内」のままでは県の負担額が増加するのはもちろん、工期の遅れにもつながりかねない。福島県知事・副知事から「何とか解決してほしい」と懇請された根本は、只見線で締結された「上下分離方式」を念頭に、①追加する制度の補助割合は現行制度同様「1/4以内」とする、②例外的に国土交通大臣が特に必要と認めた場合、具体的には「鉄道以外では公共交通機関の確保が困難であり、復旧後の鉄道運営を『公有民営』方式等とする」ことで、補助割合を政令で「1/3以内」に変更可能とする…との妥協案を提起。この考え方に沿って法改正案が、平成30(2018)年6月に可決・成立した。「最後まで知恵を出す」という根本の政治哲学が遺憾なく発揮されたことで、只見線の復旧工事が無事スタート、令和4(2022)年10月に全線開通となった。政令の適用要件は、会津只見線の方式を念頭に置いて工夫したもので、1/3の適用は今までのところ、只見線のみにとどまる。