21世紀記念公園
「麓山の杜」
日東紡績郡山第一工場跡地を80億円で取得したものの、どのように活用するかを計画しておらず、バブル直後だったこともあり、利子だけで年間5億円を一般財源から払っていた郡山市。市長の藤森英二とこの土地の活用法について議論した根本匠は、大震火災等の災害が発生した際に救護救援活動の前線基地や救援物資輸送の中継基地として地域防災の拠点となる「防災公園」にするというアイデアで一致。しかし「防災公園」に必要な面積は10ヘクタール以上という規定が大きく立ちはだかる。
そのとき、匠が動いた!
「防災公園の要件は10ヘクタール以上」だが、日東紡績の工場跡地の面積は約3ヘクタール。この広さでは、防災公園として整備するための国土交通省の補助金が受けらない。そこで根本は古巣の建設省と協議、こんなアイデアを同省幹部にぶつける。
「10ヘクタールの要件は法令に定められた基準ではない。運用だ。この土地と麓山通りを隔ててある麓山公園までを一つの防災公園エリアに見立てれば、オープンスペースとして防災性を十分に確保できる。全体で防災公園に必要な面積10ヘクタール以上をクリアすることができる」
根本のアイデアが〝助け船〟となり、防災公園として採択され、平成15年4月に「21世紀記念公園 麓山の杜」が開園。この公園は市民の新たな憩いの場所となるとともに、このとき整備された備蓄倉庫や耐震性貯水槽が8年後、東日本大震災で生かされることになる。
根本は、令和4(2022)年から茶道裏千家淡交会の郡山支部長を務めているが、園内の麓山荘(くつろぎ施設)には茶室も設けられ、市民の茶会にも利用され親しまれている。