国営かんがい排水事業
「新安積地区」(安積疏水整備事業)
県内有数の水田農業地帯である新安積地区(郡山市・須賀川市)のかんがい用水として使用されている新安積幹線用水路(新安積疏水)は、通水から40年以上が過ぎているため老朽化が著しく、その維持管理に多大な労力と経費を要していた。また、近年の営農形態の変化により用水不足も恒常化していた。
安積疏水土地改良区は、老朽化した農業水利施設の整備・更新を行う「国営かんがい排水事業」の早期採択を国に要望したが、年末の予算編成作業の段階では、新年度予算の新規採択は当初、全国で2箇所にとどまっていた。
そのとき、匠が動いた!
安積疏水土地改良区の理事を務める根本匠は、建設省の先輩でもある野呂田芳成農林水産大臣を直接訪ね、明治の国家的なプロジェクトである安積疏水の歴史や新安積地区の農業水利事業の必要性を力説。根本の話を聞き終えた野呂田は「地元に貢献するのが政治家の使命だ!」と応じた。この直談判が奏功、新安積地区は3箇所目の新規案件として採択される。第Ⅰ期と第Ⅱ期を合わせた事業費は202億円。平成9(1997)年から完成まで12年の歳月を費やす大事業となった。