衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
掲載 : 週刊東洋経済
2011.9.10

福島県復興へ総合戦略の立法化を

福島県復興へ総合戦略の立法化を

 原子力発電所事故に起因する災害には、避難を強いられた人たちに降りかかった直接的な災害(1次災害)および、農産物や加工食品、観光業などの風評被害を代表例とする2次災害がある。「原発起因災害」は福島県全体に及んでいるにもかかわらず、政府の対応は後手に回り、スピードも極めて遅い。今のままでは福島県は立ち直れなくなる。

政府の対応は遅すぎる

 原発起因災害対策は時間との競争だ。原発事故の終息を待って取り組むのでは遅すぎる。地震、津波災害からの復旧・復興とは別の枠組みで、国家プロジェクトとして推進する必要がある。この総合戦略では、短期、中期、長期のタイムスケジュールを示した行程表を策定し、国や県、市町村の役割分担を明確化すべきだ。総合戦略は立法化する必要がある。

 校庭の表土除去問題に象徴されるように、現在は問題が表面化するたびに自治体の動きを国が追認していく「戦力の逐次投入」が続いている。これでは復興は進まないし、責任が不明確だ。原発起因災害については東京電力や自治体任せではなく、国が責任を持って対処すべきだ。

 取り組むべき重要課題としては、放射線量の正確な把握に基づく除染活動、子どもの健康の確保とともに、農産物、加工食品、工業製品の十分な検査と安全証明、風評被害への適切な補償、国の財政支援(使途自由な「原発起因災害交付金」の創設)、雇用の確保、企業再生などが挙げられる。

 企業再生では「二重ローン」対策が極めて重要。その際、返済義務を伴う融資だけでは企業の再建は困難だ。中小企業を含むあらゆる企業が直接資本を調達できる新たな枠組みとして「地域創造復興国策ファンド」を作る必要がある。ファンドは政府系金融機関や地域の金融機関と連携して、種類株など資本出資を中心に債権買い取りや債務株式化などの機能も持つ。ファンドには国の資本と共に、被災地を応援する日本国中の資金を投入する。

 被災地の企業は個別企業としてではなく、地域の雇用や活力を生み出す「社会的共通資本」あるいは「公共的インフラ」ととらえ直す必要がある。その際、国による支援は個別企業の救済ではなく、地域復興のための投資と位置づけるべきだ。