これからの少子化対策の在り方に関する提言
自由民主党厚生労働部会
少子化問題小委員会
委員長 根本 匠
基本的考え方
- 子育て家庭支援を世代継続のための国家戦略と位置付ける。
- 家庭を持つことや子どもを育てることの喜びや価値を国民一人ひとりが強く感じることができる社会の実現を目指す。
- 子どものしあわせを第一に考え、子どもたちが健やかに成長し、そして、自立できるよう、地域全体で子育てを支援する。
- 食や性の問題、児童虐待など、現にある子どもの危機的状況を正確に認識し、その対策に積極的に取り組む。
- 地域の状況の違いを認識し、地域ごとの良さを活かしたきめ細かな施策の推進を支援する。
- 性差を否定するような行き過ぎたジェンダーフリーなどの考えが少子化対策に与える悪影響を排す。
家庭における子育てを大切にする
子育て不安を解消
子育て中の親子が気軽に交流できる「つどいの広場」の全国的な展開や子育て相談等に応じる「地域子育て支援センター」を機能強化。また、妊娠中・産後の女性の育児・養育に対する不安を軽くするための取組の強化。
子育ての喜び・意義を実体験
子どもたちと赤ちゃんのふれあう機会を創出し、母性・父性の涵養や子どもたちの健全育成を推進。
地域における子育てパワーの強化
- 昨年の児童福祉法改正によりその位置づけを大きくした児童委員や保育士、さらには助産師、保健師など地域の人材を子育て支援のために改めて養成・活用する。
- 子育てサークルの活動支援や地域における子育て支援のための資源のネットワーク化を図る。
- 地域の様々な子育て支援情報の総合的な提供やサービスのコーディネート機能を創設する。
家庭の変化に的確に対応
ひとり親家庭の増加など家庭の変化に対応したきめ細かな子育て支援サービスを展開。
父親と子どもの絆を深める
家庭や子育てにおいて父性がその役割を積極的に果たせるよう意識啓発や環境整備を推進。
真に必要な保育サービスの展開
待機児童ゼロ作戦の推進
保育所の受入児童数の増大、送迎保育ステーションの整備、幼稚園の預かり保育等の推進、認可外保育施設の認可化促進を実施。
多様な保育サービスの充実
親の就労形態の多様化(パートの増大等)に伴い、子どもの保育需要が変化しており、これに対応するため、週に2,3日程度、あるいは午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる保育サービスを創設するとともに、使いやすい一時保育を推進し、家庭における子育て支援ニーズに的確に対応。
子育てを重視する職場への抜本的な転換
家庭における子育て時間の確保
- 家庭を大切にする視点から男性を含めた日本人全体の働き方・企業風土を大胆に改革。
- 父親を含めた育児休業の取得促進、看護休暇制度や子育て期間中の勤務時間短縮制度の普及のための具体的な目標の設定と目標達成のための施策の総合的な展開。
多様な働き方の実現
多様就業型ワークシェアリング、パート、派遣、在宅就労など、子育て家庭のニーズに応じた多様な働き方を実現するため、例えば短時間正社員制度の普及など雇用環境の整備や先駆的・モデル的事業の促進・支援。
子どもの健康・安全をまもる
「食育」「性育」「いいお産」
食事を通じた家族形成や健全育成(食育)、望まない妊娠への対応を含めた性に関する理解促進・愛情形成(性育)、安全で快適なお産(いいお産)のための施策を実施。
児童虐待防止対策の充実
児童相談所の相談体制の強化や虐待を受けた児童に対する適切な保護の実施など虐待の発生前、発生時、発生後における総合的な対策を強化する。
子育ての価値・意義を社会的に評価する
子育てバリアフリー社会の実現
妊婦や子連れ家族が安心して外出できるまちづくり、子連れ家族の利用に配慮(一時預かりの実施、授乳コーナーの設置など)した施設の普及、子育てしやすい住宅の整備に、官民あげて取り組む。
多子家庭支援プログラム(プライオリティ・システム)
公共交通機関や劇場などで子連れ家族を優先的に入場させたり、公共サービスの料金体系について多子世帯への優遇措置を検討する。
子育てを評価する制度の構築
子育てを評価する負担や給付の在り方(税制や社会保障制度)について検討を進める。特に平成16年に行われる年金制度改革にこの観点を盛り込む。
少子化対策を地域から発信する
地域の状況に応じた取組の推進
少子化の地域格差の要因についての研究を進め、都市部、農村部等地域の特性に応じた施策を推進する。